シリア・モナムール

監督/脚本:オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン

2014 年/シリア、フランス映画/96 分/カラー/16:9/4:3/5.1ch/アラビア語

日本語字幕:中沢志乃/協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭

後援:公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 

公式サイト:https://www.syria-movie.com/introduction

これは“愛”についての映画である――

亡命先のパリで、故郷シリアの置かれた凄惨な実状に苦悩し続けていたひとりの映画作家、オサーマ。苛烈を極める紛争の最前線で繰り返される殺戮の様子は、日々YouTubeにアップされ、ネット上は殺す者、殺される者双方の記録で溢れかえり、シネアストはただただそれを繋ぎ合わせることしかできない。そんななか彼は、SNSという深海で、クルド語で“銀の水”を意味するシマヴという女に出会う。破壊されつくされ、惨澹たる戦場であらゆる映像を撮り続けるシマヴは、彼を“ハヴァロ”(クルド語で「友」の意)と呼び、罪悪と無念の中に沈み、溺れかかった男を、命の源に引き戻していくのだった…。

「ハヴァロ、もしあなたのカメラがシリアにあったら、何を撮る?」――

シマヴは監督オサーマの耳目となり、カメラを廻す。その瞬間からふたりの“映画”と、そして“シリア”と、あるいは“愛”の物語が始まっていく…。

2011年春。アラブの春に始まった民主化運動はシリアにも押し寄せ、42年続くアサド独裁政権への不満と自由を求める声が市民の大規模なデモとなって渦巻いていく。やがて政府軍による一般市民への弾圧は、瞬く間に凄惨の限りを尽くす拷問と虐殺の暗黒の時代へと様相を変えていくのだった。しかし映画は夥しい犠牲者と戦場を捉えるドキュメントにはとどまらず、その個々の死に刻まれた深い傷とともに、絶望の中に普遍の愛を見出していく。

『ヒロシマ・モナムール』から『シリア・モナムール』へ。人は誰もが“愛”も“戦禍”も免れることはできないということを突き付ける、今世紀最も重要な衝撃作の誕生である。