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彗星のように現れこの世を去っていったイギリス人作家ブルース・チャトウィン(1940-1989)。『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』は、彼の没後30年に、生前チャトウィンと親交を結んだ巨匠ヴェルナー・ヘルツォークが制作したドキュメンタリーである。ヘルツォーク監督は、パタゴニアや中央オーストラリアのアボリジニの地など、チャトウィンが歩いた道を自らも辿り、チャトウィンが魅了された「ノマディズム/放浪」という、人間の存在の根底にある大きな概念を探究する旅に出る。

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旅人で作家のブルース・チャトウィンは、幼少の頃、祖母の家のガラス張りの飾り棚にあった“ブロントサウルス”の毛皮をきっかけに、先史時代や人類史に関心を抱いた。美術品の蒐集家、考古学の研究生、ジャーナリストと、様々なフィールドで非凡な才能を発揮したチャトウィンが最終的に選んだのは、自らの足で旅をしながら小説を書く人生だった。南米を旅し、デビュー作「パタゴニア」を書き上げたチャトウィンは、その後、アボリジニの神話に魅せられ、中央オーストラリアを旅した。当時は不治の病だったHIVに感染し、自らに訪れる死を悟ったチャトウィンは、死に近づいたアボリジニが生を受けた地に帰還するように、自らの死に方を探りながら「ソングライン」を書きあげた。映画は、一枚の毛皮から始まったチャトウィンの旅がユーカリの木陰の下で終わるまで、その過程で交差した人々のインタビューを交えながら、全8章、ヘルツォーク監督自身のナレーションで綴られていく。

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ブルース・チャトウィン

作家/1940年、イギリス生まれ

オークションで有名なサザビーズで美術鑑定士、収集家として成功を収め、その後、エジンバラ大学で考古学を専攻する。幼少の頃から先史時代に興味を持っていたチャトウィンは、見慣れない物を求めて世界中を歩いた。1978年に「パタゴニア」で作家デビューを果たし、栄誉ある数多くの賞に輝き、時代を代表する作家としての地位を築く。1989年にHIVで他界するまで5作の小説を発表した。

 

バイオグラフィー:「パタゴニア」(77)、「ウィダーの副王」(80)、「黒ヶ丘の上で」(82)、「ソングライン」(87)、「ウッツ男爵」(88)。

ヴェルナー・ヘルツォーク

映画監督/1942年、ドイツ生まれ

1960年から60作以上、映画の監督、脚本、プロデューサーを務める。ヴェンダースやファスビンダーと並ぶニュー・ジャーマン・シネマの旗手。『カスパー・ハウザーの謎』(74)でカンヌ国際映画祭審査員グランプリ、『フィッツカラルド』(82)で同監督賞を受賞する。近年では精力的にNetflixやAppleなど国際配信会社とドキュメンタリー作品を手がけている。ヘルツォーク監督のドキュメンタリーが日本で劇場公開されるのは、『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』(2012)以来10年ぶり、岩波ホールでの作品公開は『アギーレ・神の怒り』(83)以来39年ぶりとなる。

 

主なノミネート/受賞

アカデミー賞ノミネート(1983, 2009)、エミー賞ノミネート(2009)、2020 全米撮影監督協会 ボードオブガバナー賞、2019 ヨーロッパ映画賞 生涯貢献賞、2013 ドイツ映画賞 ドイツ映画界への貢献賞、2006 全米映画協会ドキュメンタリー部門最優秀監督、2006/2012 全米映画批評家協会賞 ノンフィクション映画賞

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​​“彼と私の軌跡は何度か交差しているだが訪れた地点や見た風景の中には互いに何年も知らずにきたものもある

チャトウィンは特異な作家だ
彼は神話を心の旅として
表現してきた
その点 私たちは同志だと思う
作家と映画監督ではあるが

この映画でも
私が試みるのは探求だ
野生の気質や夢見る人々
人間という存在にまつわる
大きな概念
それらがチャトウィンの
テーマだった”


W. ヘルツォーク

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