本作品はゲッベルスの秘書ブルンヒルデ・ポムゼルの証言を記録した『ゲッベルスと私』の【ホロコースト証言シリーズ】第2弾作品となる。本シリーズは世界的に戦争体験者が社会からいなくなる中、人類史上最大の悪であるホロコーストの記憶を被害者のみならず、加害者、賛同者、反逆者の視点からも捉え、多角的に戦争の真実を記録するシリーズである。すでに撮り終えている第3弾企画はアウシュヴィッツで人体実験を繰り返したヨーゼフ・メンゲレ医師に関係した元少年・囚人の証言ドキュメントである。《ゲッベルスと私 HP》
シリーズ公式ロゴ
製作者プロフィール
Christian Krönes
クリスティアン・クレーネス
(監督・プロデューサー・プロダクション・オーナー)
1961年11月2日フェルトキルヘン・イン・ケルンテン生まれ。ブラックボックス社代表(ウィーン)。オーストリア、ドイツのテレビ局でディレクター・プロデューサーを務めた後、ピーター・ユスティノフ(英)と難民の子供たちを支援する財団を設立する。プロダクションの代表作『ゲッベルスと私』(本国公開2016年)はヨーロッパ映画賞最優秀ドキュメンタリー作にノミネートされる。
Florian Weigensamer
フロリアン・ヴァイゲンザマー
(監督)
1973年1月24日ウィーン生まれ。ウィーン大学で政治学を専攻する。卒業後、政治誌「Profil」に入社しジャーナリストとしてキャリアをスタートさせた後、通信社へ転職し欧州のニュースやルポタージュを世界に配信する。その後、クリスティアン・クレーネスと出会い数多くの政治・社会番組を制作し、クレーネスと共に2006年にブラックボックス社を立ち上げる。
Christian Kermer
クリスティアン・ケルマー
(撮影監督・編集)
1986年8月15日ザンクト・ペルテン生まれ。大学で情報デザインを専攻した後、ザルツブルク応用科学大学でマルチ・メディアアートを学び修士号を取得し、2014年よりブラックボックス社で撮影監督(DOP)兼編集を担当している。
Roland Schrotthofer
ローランド・シュロットホーファー
(プロダクション・マネージャー)
1984年3月9日グラーツ生まれ。ウィーン大学でメディア論、心理学、経営を学びながら映画や演劇の制作に携わる。在学中に制作した短編映画はオーストリア放送協会(ORF)で放送される。ブラックボックス社ではプロダクション・マネージャーとして活動する。
Blackbox Film & Medienproduktion GmbH
ブラックボックス・フィルム&メディア株式会社
ブラックボックス社は、オーストリアのウィーンを拠点に国際的に活動するドキュメンタリー映画の製作プロダクションです。プロダクションには監督、プロデューサー、カメラマン、エディター、カラーグレーダーが集まり、歴史や文化、そして社会問題をテーマとした高品質のドキュメンタリー作品をチームで制作しています。映画製作では、『ゲッベルスと私』(2018年日本公開)がヨーロッパ映画賞にノミネートされ、アカデミー賞のロングリスト入りを果たし、ガーナの家電ゴミ汚染を追った『Welcome to Sodom』は2019年CPH:DOXでワールド・プレミアされ、その後、世界100以上の映画祭に正式出品される。現在、ホロコースト証言シリーズ3弾目となる『A Boy's Life』を制作中。その他にも、海洋資源の乱獲問題や強制収容所や社会の分断を象徴する有刺鉄線の歴史を巡るプロジェクトも進めている。
プロダクション・ステイトメント
ブラックボックス社の設立は、映像が過剰に供給されている時代において、新しいフォームによるコンテンツで情報伝達と感情表現を生み出すことへのコミットです。新しいフォームは形を必要とし、その形は同時にスタンダードにもなります。
ディレクターズ・ノート / ステイトメント
平和で豊かな民主主義国家であるヨーロッパで育った私たちにとって、マルコ・ファインゴルトの人生を支配した世界は遠い世界の出来事のように思えます。戦争やファシズムの危険性は永遠に無くなり、今日、私たちがそのような問題と向き合う必要はないと考える人は多くいるでしょう。社会に潜む危険は決して克服されたわけではありません。本作品は社会や政治システムがいかに急速かつ不意に変化するかを示します。
現在、世界中でポピュリズム運動が大規模に展開されています。右翼的な態度がいたるところで見られ、不寛容さが再び社会的に受け入れられるようになりました。このような時代だからこそ、反ユダヤ主義が再び増加し、ホロコーストを否定する者も現れます。歴史を過ぎ去ったこととして見るのではなく、現在の出来事に置き換え過去を見直すことが重要です。私たちは決して自分たちの歴史を忘れてはなりません。自分たちの過去を蔑ろにする者は、その歴史が繰り返される責任を負うことになるからです。私たちは映画を通じて社会に本質的な議論を生みたいと思っています。
最後に、私たちは現代に残る最後のホロコーストの目撃者の体験と記憶を忘却させないためにドキュメンタリー映画を作っています。フィルムに収められたものが集合的記憶として未来に残っていくことを信じています。